@phdthesis{oai:hirosaki.repo.nii.ac.jp:00004640, author = {秋田, 真}, month = {Sep}, note = {本研究の目的は,小学校社会科における価値判断の授業を包摂主義の観点から新たに授業開発することである。そのために,包摂主義の観点を基軸とした価値の類型化を行った。それに基づき,社会科の授業構成を行い,実践を試みた。実践の分析では,児童の認識を基に質的研究を行い,授業開発と実践における価値の特質を明らかにした。 第一章では,社会科授業を通して児童がより望ましい生き方について学ぶために,温情的な介入を是とする包摂主義の観点を基軸とした4類型を提案した。ここでは先行研究を分析することにより,価値を扱う際に,イデオロギーを考慮せざるをえないことを明らかにした。課題は,学習者の思考に沿った価値判断学習の類型化や,時代の変化に応じた価値類型の必要性である。 第二章では,包摂主義の,組織管理と組織協同の価値を設定した授業開発を行った。具体的には,財の配分(組織管理)かケイパビリティーの拡充(組織協同)かを問う「青年海外協力隊の支援の在り方」を扱った。実践の分析より,価値明確化による授業の有効性を明らかにした。また,価値に対し知的に気付かせるためのケイパビリティーアプローチの有効性を明らかにした。 第三章では,非包摂主義の,個別尊厳と個別責任の価値を設定した授業開発を行った。具体的には,我が国の選挙における女性議員の実質的平等(個別尊厳)か形式的平等(個別責任)かを問う「議員クオータ制実現の是非」を扱った。実践の分析より,価値明確化による授業の有効性を明らかにした。また,価値を教師側から一方的に押しつけず,知的に気付く活動には,アクティブ・ラーニングの視点が有効であることを明らかにした。 第四章では,包摂主義と非包摂主義のそれぞれの価値類型,すなわち組織管理と組織協同,及び個別尊厳と個別責任の中のそれぞれ1つの価値から設定した授業開発を行った。具体的には,国の管理(組織管理)か自己責任(個別責任)かを問う「年金の在り方について」,農業保護(組織管理)か自由貿易(個別尊厳)かを問う「TPP参加の是非について」,富の再分配(組織協同)か自己所有権(個別責任)かを問う「子ども手当の導入について」,未来補償(組織協同)か現状保護(個別尊厳)かを問う「ダム建設の是非について」の4つを扱った。実践の分析より,これまでと同様に価値の明確化の有効性を明らかにした。さらに,教師が適切に発問及び指示ができるようになることで,児童は立場や手立てを具体的に考え表現することができることを明らかにした。 終章では,3点の研究成果と2点の課題をまとめた。成果は,次の通りである。第一に,価値判断学習での主要な価値を析出したことである。第二に,児童に対する発問及び指示の妥当性を高めたことである。第三に,学習指導方法の深化について明示したことである。課題は,価値類型の限定性があることと,さらなる実践の積み重ねによる研究の精緻化である。}, school = {弘前大学}, title = {小学校社会科における価値判断の授業開発-包摂主義を基軸とした価値類型の有効性-}, year = {2016} }